当院における妊孕性温存の取組み


がんに対する手術、抗がん剤、放射線療法を中心とした治療の進歩により、以前は治療が困難とされていたがんでも克服できる患者様が増えています。

一方で、このような治療によって、妊娠に必要な臓器に負担がかかり、将来に妊娠する力(妊孕力)が低くなってしまうと言われています。

近年、抗がん剤や放射線を用いる治療の前に、卵子や精子、卵巣組織を凍結保存し、がんの治療が終わった後に妊娠出来る可能性を残す治療(妊孕性温存療法)が確立されてきました。

凍結保存法の種類と特徴


  胚凍結 未受精卵子凍結 卵巣組織凍結

対象年齢の目安

 

20歳〜43歳未満 20歳〜43歳未満 0歳〜43歳未満

婚姻状況

 

既婚のみ 未婚/既婚を問わず 未婚/既婚を問わず

必要な治療期間

 

2〜6週 2〜6週 1〜2週
特徴 不妊診療では最も普及している。
未婚女性には実施できない。
未婚女性にも実施可能 思秋期以前の女児においても実施可能。
必要な治療期間が短い。

妊孕性温存療法の実際


費用負担について


いずれも保険適応のある治療ではなく、自費診療になります。

京都府ではこれらの治療に対する助成金の制度もあります(京都府在住の方)。

 

さいごに


妊孕性温存療法は患者様全員にできる治療ではなく、その妊娠率も100%ではありません。

妊孕性温存療法についての話を聞いてみたいという患者様は主治医にご相談ください。京都府立医科大学附属病院産婦人科と連携し、この治療法についての詳しいお話をさせていただきます。