乳房同時再建手術


乳房再建では切除された乳房を整容的に再現することにとどまらず、術後のつっぱりや痛みが軽減されるという効果も得られます。

近年再建方法も進歩していますので、美しい乳房が再建できるようになっており、、治療の選択肢も増えてきたため非常に専門性が高まっています。

 

当科では、組織再建の専門である形成外科医による同時再建手術を行っています。

われわれ乳腺外科医・形成外科医は健康側とのバランスのとれた「形の良い乳房を作る」こと、また乳房を失うことによる喪失感を軽減することで「心も再建できれば」という目標に向かって努力しております。少しでも乳癌手術に立ち向かう勇気を持っていただく助けになれればと願っています。

自家組織による再建

  • 患者さん自身の組織を用いて、乳癌切除後の欠損部に移植再建する方法です。
  • 小さい範囲の欠損であれば外側脂肪弁(わきの脂肪を埋める方法)による比較的負担の少ない乳房形成も可能です。
  • 大きい欠損でも背中の組織(広背筋皮弁)とお腹の組織(腹直筋皮弁)を用いることで、左右均整ととれた乳房を再建することができます。
  • この手術の利点は、自分の組織という安心感が得られることと、自然な動きに対して再現性が高いことです。
  • 欠点は組織を採取した部位に傷ができてしまうことです。当科では、この傷ができるだけ目立たないような工夫を積極的に行っております。

 


人工乳房による再建

当院は日本オンコプラスティックサージャーリー学会認定施設です。


  • 組織拡張器という人工の装置を胸の筋肉の下に留置し、徐々に皮膚皮下組織を乳房の形に膨らませて人工乳房に入れ替えるという再建方法です。
  • 2-3週間に1回の割合で4-6カ月くらいの期間に外来で生理食塩水を組織拡張器に注入していきます。注入時間は10分程度の短時間です。
  • この手術は自家組織による再建に比べて、採取する必要がないため手術が低侵襲であるという大きな利点があります。
  • 組織拡張器と入れ替える人工乳房は生理食塩水バッグとシリコンバッグ用いられています。
  • 生理食塩水バッグは破損しても、生理食塩水と同じ成分なので問題ありません。最近のシリコンバッグはコヒーシブ(固着性)シリコンバッグです。破れても中身が外に撒布されないように工夫されています。
  • 欠点は術後に感染したり、露出したりする恐れがあることと、人工乳房の周囲に瘢痕カプセルが形成されることで違和感が生じてしまうなどの不都合が生じてしまう可能性があることです。